名称
- 和名:四神聡(ししんそう)
- 経穴:経外奇穴(頭部)
- 英名:Sishencong (EX-HN1)
取穴(位置・取り方)
- 頭頂部、百会(GV20)の前後左右各1寸の位置に4穴を取る。
- 髪の生え際や頭蓋の形によりわかりにくい場合は、百会を基準に前後左右に指幅1横指強を取る。
- 四穴を結ぶと、百会を中心とした十字形をなす。
解剖(近接構造)
- 皮膚・皮下組織・帽状腱膜。
- 神経:大後頭神経・小後頭神経・耳介側頭神経・眼窩上神経などの分枝。
- 血管:浅側頭動脈分枝、後頭動脈分枝。
東洋医学的作用(要点)
- 醒脳安神: 精神を安定させ、意識を清明にする。
- 益智強記: 思考を明晰にし、記憶力を高める。
- 熄風通絡: 頭部の経絡の気血を調え、痙攣や眩暈を改善する。
主な適応
- 頭痛・めまい・不眠・健忘・精神不安。
- 癲癇(てんかん)・脳卒中後遺症(言語障害・半身不随)。
- 注意力散漫・集中力低下・認知機能障害。
- 神経衰弱・うつ・自律神経失調症。
- 中風後の意識障害・失語症。
古典的記載・由来
- 「四神聡」は「四方の神(精神)を聡明にする」という意味を持ち、 百会(脳を統べる要穴)を中心に補助的に配置された経外奇穴。
- 古典には直接の記載は少ないが、『鍼灸大成』など後世の医家が精神疾患に広く応用。
- 現代では「脳機能の活性化・鎮静」に最も有効な経外穴の一つとされる。
刺鍼法・施灸法
- 刺鍼: 各穴に対して、百会(GV20)に向けて浅く0.3~0.5寸斜刺。 髪の毛の下に沿わせるようにして刺入する。
- 灸法: 温灸・棒灸を各穴に1~3壮。頭部の冷えや倦怠に有効。
- 注意: 頭皮下には血管が多く出血しやすいため、抜鍼時は十分な圧迫止血を行う。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 四神聡は、頭頂部の気血を調え、脳の働きを高める「補陽・開竅・安神」の代表的経外穴です。百会(GV20)を中心とした組み合わせで精神系・神経系・認知系の症状に極めて有効です。
- ① 不眠・神経過敏・ストレス性不調:四神聡(EX-HN1)+百会(GV20)+内関(PC6)+神門(HT7)→ 精神を安定させ、心神を鎮め、睡眠を改善。
- ② 記憶力・集中力低下:四神聡(EX-HN1)+百会(GV20)+印堂(EX-HN3)+太衝(LR3)→ 脳の血流を改善し、思考を明晰にする。
- ③ 頭痛・めまい・脳疲労:四神聡(EX-HN1)+風池(GB20)+太陽(EX-HN5)+合谷(LI4)→ 頭部の気血の滞りを除き、頭重感や眩暈を軽減。
- ④ 脳卒中・失語・半身不随:四神聡(EX-HN1)+百会(GV20)+水溝(GV26)+合谷(LI4)+足三里(ST36)→ 脳血流を促進し、リハビリ期の神経再生を助ける。
- ⑤ うつ・自律神経失調:四神聡(EX-HN1)+百会(GV20)+太衝(LR3)+内関(PC6)→ 精神の滞りを開き、全身の気の流れを整える。
- 四神聡は「百会を中心に気を集め、四方へ神を通ずる」穴であり、 現代臨床では脳機能の調整・精神安定・認知症予防などにも応用される重要経外穴です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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