名称
- 和名:肺心(はいしん)
- 経穴分類:経外奇穴(胸部)
- 英名:Fei Xin
- 意味:肺と心の機能を同時に調整することからこの名がある。
取穴(位置・取り方)
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:大胸筋、小胸筋。
- 神経:肋間神経前皮枝。
- 血管:内胸動脈・静脈の枝。
- 臓器:深部には肺尖部および心包膜上部が位置する。
東洋医学的作用(要点)
- 理気寛胸: 胸中の気滞を除き、呼吸の詰まり・胸悶感を改善する。
- 寧心安神: 心気の乱れを鎮め、動悸・不安・不眠を緩和する。
- 清肺降逆: 肺熱・咳嗽・呼吸困難を鎮める。
- 調和宗気: 呼吸と循環の調整を助け、全身の気血運行を整える。
主な適応症
- 胸痛、狭心症、動悸
- 呼吸困難、喘息、咳嗽
- 胸部圧迫感、胸悶
- 心悸亢進、不安・不眠
- 肺疾患、慢性気管支炎
刺鍼法・施灸法
- 刺鍼方向: 斜めに内下方(胸骨方向)へ向けて刺入。
- 刺入深度: 約0.3~0.5寸。深刺を避け、胸腔穿刺に注意。
- 施灸: 知熱灸・温灸を軽く行う。慢性咳嗽や冷えによる胸部症状に良い。
- 禁忌: 深刺・強刺激は不可。特に瘦身者では胸膜刺激に注意。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- ① 狭心症・胸悶感:
- ② 呼吸困難・喘息:
- ③ 不安・胸部不快感:
- 肺心+神蔵(KI25)+内関(PC6)+安眠(EX-HN16)→ 心肺の気を調和させ、胸の圧迫感や情動性呼吸困難を鎮める。
- ④ 慢性咳嗽・気虚体質:
古典的背景・文献
- 古典には明確な記載はなく、清代以降の臨床奇穴として伝承された。
- 『奇穴図譜』に「治胸痛喘急,心悸怔忡」との記載がある。
- 「肺心」という名称から、心包と肺経の交会部を意識した調整穴とされる。
臨床メモ
- 呼吸器疾患・循環器疾患のどちらにも応用できる胸部奇穴。
- 特に、情動性の胸部症状(ストレスで息苦しい・胸が詰まる)に効果的。
- 軽い温灸でリラックスを誘導し、自律神経を安定させる目的にも用いる。
- 左右同時施術で、胸郭前面の開放感を得やすい。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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