名称
- 和名:乳中(にゅうちゅう)
- 経穴:足の陽明胃経(ST17)
- 英名:Ruzhong (ST17)
取穴(位置・取り方)
- 乳頭の中央部に取る。
- 体格や性差によって位置は多少異なるが、解剖学的には第4肋間の高さにあたる。
- 乳頭そのものが目標点であるため、取り方に迷うことはない。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・乳頭・乳腺組織。
- 筋層:大胸筋の前面。
- 神経・血管:乳頭神経(第4肋間神経の枝)、乳頭動脈の分枝。
- 深部:胸腔(肺尖部)に近接。
東洋医学的機能(要点)
- 『霊枢』などの古典では、乳中(ST17)は標識穴とされ、実際の刺灸治療には用いない。
- 経穴学的には胸部の経穴配列を決めるための基準点として重視される。
臨床応用
- 臨床的に刺鍼・灸は禁忌であり、治療目的では用いない。
- 解剖学的には乳腺組織・乳頭が存在するため、刺鍼は強い違和感や損傷をもたらす可能性がある。
- 乳疾(乳腺炎や乳汁分泌不全)に関連する治療では、隣接する屋翳(ST15)、膺窓(ST16)、乳根(ST18)などを用いる。
刺鍼法
- 刺鍼・灸ともに禁忌。
- 乳中は「標識穴」として、あくまで位置の指標に用いるにとどめる。
禁忌・注意
- 乳中は刺鍼・灸を行わない。
- 臨床で用いる際は胸部経穴の位置確認の基準点として活用する。
- 乳疾の治療では周囲のST15・ST16・ST18を使うことが推奨される。
臨床のコツ
- 乳中(ST17)は刺鍼禁忌穴であるものの、胸部の経穴定位における重要な基準点です。
- 臨床では治療目的に直接使うのではなく、隣接穴(屋翳・膺窓・乳根など)を選択する際のランドマークとして意識することが重要です。
- 特に乳疾や呼吸器症状の治療で胸部経穴を多用する際、乳中を起点として肋間や経穴ラインを正確に取穴することが、臨床の質を高めるコツとなります。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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