不容まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:不容(ふよう)
  • 経穴:足の陽明胃経(ST19)
  • 英名:Burong (ST19)


取穴(位置・取り方)

  • 上腹部、臍の上6寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
  • 剣状突起下縁と臍を結ぶ線を10等分し、その上から2/10の高さに相当する。
  • 正中線上の巨闕(CV14)の外方2寸に位置するため、巨闕を指標に取穴するとわかりやすい。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織。
  • 筋層:腹直筋・腹直筋鞘。
  • 神経・血管:第7肋間神経前皮枝・筋枝、上腹壁動脈の分枝。
  • 深部:胃(特に胃上部・噴門部)に近接し、刺鍼時には注意が必要。


東洋医学的機能(要点)

  • 和胃理中:胃気を整え、消化を助ける。
  • 降逆平喘:胃気の逆流や咳嗽・喘息に対して応用される。
  • 胃経の上腹部経穴群(不容~承満)は、いずれも胃疾患の要穴として重要視される。


臨床応用(胃疾患・呼吸器症状など)

  • 胃の不快感:胃脘部膨満、食欲不振、胸やけ。
  • 消化器症状:嘔吐、呑酸、げっぷ。
  • 呼吸器症状:咳嗽、喘息、胸部つかえ感。
  • 古典的応用:『銅人腧穴図経』では「胃中熱、嘔吐、食不下、咳逆」に用いるとされる。


刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:0.14–0.20mm、25–40mm。
  • 刺入方向と深さ
    • 皮下に沿って斜刺0.5–0.8寸
    • 直刺の場合は0.5–0.8寸程度。
    • 深刺は胃や腹腔臓器を損傷する危険があるため厳禁。
  • 灸法:お灸も可。胃の冷えによる痛みや食欲不振に温灸を加えることがある。


禁忌・注意

  • 深刺は胃や肝臓に達する危険があるため避ける。
  • 食後すぐの刺鍼は消化を妨げる可能性があるので控える。
  • 極度にやせた患者では特に深度に注意。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 不容(ST19)は胃上部の症状に有効とされる経穴です。臨床では、同じ胃経の上腹部穴(承満ST20梁門ST21など)と連続して使うことで胃の働きを調整できます。
  • 胃もたれ・食欲不振には不容(ST19)+中脘(CV12)足三里(ST36)
  • 嘔吐・逆流性食道炎には不容(ST19)+内関(PC6)天突(CV22)が応用されます。
  • 咳嗽や胸のつかえには肺経穴(中府LU1雲門LU2)との組み合わせも有効です。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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