名称
- 和名:承満(じょうまん)
- 経穴:足の陽明胃経(ST20)
- 英名:Chengman (ST20)
取穴(位置・取り方)
- 上腹部、臍の上5寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
- 巨闕(CV14)と中脘(CV12)の間を目安にし、正中線から外方に2寸移動すると取りやすい。
- 不容(ST19)の下1寸、梁門(ST21)の上1寸に相当する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋層:腹直筋およびその鞘。
- 神経・血管:第8肋間神経前皮枝、上腹壁動脈の分枝。
- 深部:胃体上部、小網、腹腔臓器に近接。
東洋医学的機能(要点)
- 和胃降逆:胃気を調整し、逆流や嘔吐を抑える。
- 消導化滞:停滞した飲食を消化させる働き。
- 理気寛胸:胸の張りやつかえを緩和する。
臨床応用(消化器・胸部症状)
- 消化器症状:胃脘部痛、胃もたれ、食欲不振、嘔吐、げっぷ、呑酸。
- 胸部症状:胸のつかえ、胸痛、咳嗽、喘息。
- 古典的応用:『銅人腧穴図経』には「胃中寒熱、吐逆、心下痞満」に用いるとある。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:0.14–0.20mm、25–40mm。
- 刺入方向と深さ:
- 皮下に沿って斜刺0.5–0.8寸。
- 直刺の場合は0.5–1.0寸程度。
- 深刺は胃体上部や腹腔臓器に達する危険があるため注意。
- 灸法:知熱灸・温灸とも可能。特に寒邪による胃痛や食欲不振に応用される。
禁忌・注意
- 深刺は胃や肝臓を損傷する恐れがあるため避ける。
- 食後直後の刺鍼は控える。
- 極度にやせた患者では刺入角度と深さに十分配慮が必要。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 承満(ST20)は胃上部の停滞感や嘔吐に特化して使いやすい経穴です。特に食べ過ぎや消化不良による胃脘部の張り感には即効性を期待できます。
- 胃もたれや食欲不振に承満(ST20)+中脘(CV12)+足三里(ST36)、嘔吐や逆流性食道炎には承満(ST20)+内関(PC6)+天突(CV22)がよく組み合わせられます。
- 胸のつかえ感や喘息を伴う場合は、承満(ST20)+膻中(CV17)+列缺(LU7)の配穴が有効です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
0 件のコメント:
コメントを投稿