名称
- 和名:梁門(りょうもん)
- 経穴:足の陽明胃経(ST21)
- 英名:Liangmen (ST21)
取穴(位置・取り方)
- 上腹部、臍の上4寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
- 巨闕(CV14)と中脘(CV12)の間を結び、その正中線から外へ2寸移動した位置。
- 承満(ST20)の下1寸、関門(ST22)の上1寸に相当する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:腹直筋およびその鞘。
- 神経・血管:第9肋間神経前皮枝、上腹壁動脈の枝。
- 深部:胃体部に近接。
東洋医学的機能(要点)
- 和胃降逆:胃気の上逆を抑え、嘔吐やしゃっくりを鎮める。
- 消導化積:食滞や飲食不消を改善する方向に働くとされる。
- 健脾利気:脾胃の機能を調え、消化吸収を助ける。
臨床応用(消化器疾患・胸腹部症状)
- 胃痛・胃脘部膨満:胃炎、胃下垂、胃アトニーなど。
- 嘔吐・しゃっくり:胃気上逆や飲食不消によるもの。
- 下痢・腸鳴:脾胃虚弱や飲食不節による消化不良。
- 古典的応用:『鍼灸甲乙経』に「胃脘痛、吐逆、心下痞」に用いると記載。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:0.16–0.25mm、30–50mm。
- 刺入方向と深さ:
- 直刺で0.8–1.2寸程度。
- やせ型の人では斜刺とし、深刺を避ける。
- 深部に胃体があるため、臓器損傷防止に注意。
- 灸法:知熱灸・温灸いずれも可。胃寒や慢性的な胃弱に応用される。
禁忌・注意
- 深刺で胃を損傷する恐れがあるため、刺入方向・深さに注意。
- 食後すぐの施術は避ける。
- 極度に痩せた患者では刺鍼を浅めに行う。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 梁門(ST21)は胃痛・嘔吐・しゃっくりといった胃の機能失調に幅広く使われる穴です。食滞による胃脘の張りには効果的とされます。
- 胃痛には梁門(ST21)+中脘(CV12)+足三里(ST36)
- 嘔吐やしゃっくりには梁門(ST21)+内関(PC6)+承満(ST20)
- 胃下垂や慢性胃アトニーには梁門(ST21)+天枢(ST25)+公孫(SP4)、 といった配穴が有効とされます。
- 胃気の上逆を抑える作用が強いため、逆流性食道炎やげっぷの多い患者に応用されやすい点が臨床上のコツです。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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