名称
- 和名:関門(かんもん)
- 経穴:足の陽明胃経(ST22)
- 英名:Guanmen (ST22)
取穴(位置・取り方)
- 上腹部、臍の上3寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
- 梁門(ST21)の下1寸、太乙(ST23)の上1寸に相当する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:腹直筋およびその鞘。
- 神経・血管:第10肋間神経前皮枝、上腹壁動脈の枝。
- 深部:小腸・大網に近接。
東洋医学的機能(要点)
- 健脾和胃:脾胃の機能を調整し、消化を助ける。
- 化湿利水:水湿停滞を除き、浮腫・小便不利を改善する方向に働く。
- 調中消滞:食滞や腸胃の不調を改善する。
臨床応用(主な適応)
- 腹痛・胃痛・腹脹:慢性胃腸炎、消化不良、食積。
- 下痢・腸鳴:脾胃虚弱や湿困脾胃による消化器症状。
- 小便不利・浮腫:水湿停滞や腎機能低下に伴う症状。
- 古典的応用:『鍼灸甲乙経』に「腹満、腸鳴、小便不利」に用いると記載。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:0.16–0.25mm、30–50mm。
- 刺入方向と深さ:
- 直刺で0.8–1.2寸程度。
- やせ型では臓器損傷防止のため浅め、または斜刺。
- 灸法:知熱灸・温灸いずれも可能。特に冷えや脾胃虚寒を伴う場合に応用。
禁忌・注意
- 腹部深部に小腸があるため、深刺に注意。
- 食後すぐの施術は避ける。
- 強い腹圧をかけないよう配慮。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
関門(ST22)は胃腸疾患だけでなく、水湿の停滞による症状に広く応用されます。特に小便不利・浮腫を伴う腹部膨満感に有効とされるのが特徴です。臨床では:
- 腹部膨満や腸鳴:関門(ST22)+天枢(ST25)+足三里(ST36)
- 消化不良・食滞:関門(ST22)+中脘(CV12)+梁門(ST21)
- 浮腫・小便不利:関門(ST22)+水道(ST28)+陰陵泉(SP9)
- 下痢:関門(ST22)+大腸兪(BL25)+地機(SP8)
「水湿を動かしながら中焦を調える」という点を意識すると、臨床応用が広がります。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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