名称
- 和名:太乙(たいいつ)
- 経穴:足の陽明胃経(ST23)
- 英名:Taiyi (ST23)
取穴(位置・取り方)
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋層:腹直筋・腹直筋鞘。
- 神経・血管:第10肋間神経、上腹壁動脈・静脈の枝。
- 深部:小腸、大網。
東洋医学的機能(要点)
- 健脾和胃:消化機能を整え、嘔吐や食欲不振を改善する。
- 安神作用:心神を安定させ、不安・驚悸・躁鬱など精神症状を調える。
- 調中止嘔:胃気の不降を調整して、吐き気・嘔吐を改善。
臨床応用(主な適応)
- 胃腸疾患:胃痛、嘔吐、食欲不振、消化不良、鼓脹。
- 精神神経症状:癲癇、躁鬱、不眠、驚悸(動悸を伴う不安)。
- 婦人科:心身不安を伴う月経不順。
- 古典的応用:『鍼灸甲乙経』では「驚悸、善忘、胃中の寒熱、腹脹」に効くと記載。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:0.16–0.25mm、30–50mm。
- 刺入方向と深さ:
- 直刺で0.8–1.2寸程度。
- 臓器へのリスクを避けるため、やせ型にはやや斜刺。
- 灸法:知熱灸・温灸ともに可能。特に脾胃虚寒や精神不安を伴う場合に適する。
禁忌・注意
- 腹部深部に小腸があるため深刺は避ける。
- 満腹時の施術は控える。
- 妊婦への腹部深刺は注意が必要。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
太乙(ST23)は、胃腸症状と精神的な不安定さを併せ持つケースに特徴的に用いられます。特に「胃腸の停滞が心神に影響を及ぼす」タイプに有効です。
- 胃腸虚弱・嘔吐:太乙(ST23)+中脘(CV12)+足三里(ST36)。
- 不眠・驚悸:太乙(ST23)+神門(HT7)+三陰交(SP6)。
- 癲癇・精神症状:太乙(ST23)+大陵(PC7)+内関(PC6)。
- 腹部膨満・鼓脹:太乙(ST23)+天枢(ST25)+関元(CV4)。
「心と胃のバランスを整える穴」として、精神・自律神経症状に応用すると臨床効果が高まります。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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