滑肉門まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:滑肉門(かつにくもん)
  • 経穴:足の陽明胃経(ST24)
  • 英名:Huaroumen (ST24)

取穴(位置・取り方)

  • 上腹部、臍の上1寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
  • 太乙(ST23)の下1寸、天枢(ST25)の上2寸に相当する位置。
  • 腹直筋の外縁付近で圧痛や反応点を探すと定位しやすい。

解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織。
  • 筋層:腹直筋・腹直筋鞘。
  • 神経・血管:第10肋間神経、上腹壁動脈・静脈の枝。
  • 深部:小腸、大網。

東洋医学的機能(要点)

  • 健脾和胃:胃腸の働きを整え、嘔吐・食欲不振に対応。
  • 安心寧神:心神を安定させ、不安や痙攣性の症状を鎮めるとされる。
  • 調中止嘔:胃気の上逆を調整し、吐き気・げっぷ・しゃっくりを改善。

臨床応用(主な適応)

  • 胃腸疾患:嘔吐、悪心、胃痛、食欲不振、鼓脹。
  • 精神神経症状:癲癇、痙攣、精神不安、健忘。
  • 婦人科:ヒステリー傾向、月経不順に伴う心身不安定。
  • 古典的応用:『鍼灸甲乙経』に「癲疾・驚悸・胃中寒熱」とあり、精神と消化器双方への応用が記されている。

刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:0.16–0.25mm、30–50mm。
  • 刺入方向と深さ
    • 直刺で0.8–1.2寸程度。
    • やせ型の方ではやや斜刺で浅めに刺入。
  • 灸法:知熱灸・温灸ともに用いられる。胃寒や慢性的な胃腸虚弱、不安神経症に適応。

禁忌・注意

  • 深刺による内臓損傷に注意(特にやせ型)。
  • 食後すぐの施術は避ける。
  • 妊婦の腹部施術は慎重に行う。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

滑肉門(ST24)は、太乙(ST23)と近接し、共に「胃腸と心神を調整する」穴とされます。精神的ストレスが胃腸に影響するタイプの症状に特に有効とされます。

精神症状と消化器症状が同時に現れる場合、太乙(ST23)とセットで使うと効果が高まります。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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