外陵まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:外陵(がいりょう)
  • 経穴:足の陽明胃経(ST26)
  • 英名:Wailing (ST26)

取穴(位置・取り方)

  • 下腹部、臍の下1寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
  • 関門(ST22)から天枢(ST25)大巨(ST27)へと並ぶ配列の一部で、腹部のバランスをとる要穴。
  • 臍下部の外側にあるため、腹直筋の外縁を目安にする。

解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:腹直筋、腹直筋鞘。
  • 神経・血管:第11肋間神経の枝、下腹壁動脈・静脈の枝。
  • 深部:小腸、大網。

東洋医学的機能(要点)

  • 調気和中:腹部の気の滞りを整え、腹痛や鼓脹に応用される。
  • 止痛作用:少腹部や鼠径部の痛みを和らげるとされる。
  • 健胃調腸:胃腸の働きを助け、下腹部症状の調整に用いられる。

臨床応用(主な適応)

  • 腹部症状:下腹部痛、鼓脹、腸鳴、便秘。
  • 婦人科:月経痛、月経不順、少腹急痛。
  • 泌尿器:排尿困難、頻尿、下腹部不快感。
  • 古典的応用:『鍼灸甲乙経』に「少腹痛・腹鳴」に用いると記載があり、消化器系と下腹部の痛みに関連付けられている。

刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:0.16–0.25mm、30–50mm。
  • 刺入方向と深さ
    • 直刺で0.8–1.2寸程度。
    • 体型に応じて深さを調整する。瘦せ型ではやや浅めに刺入。
  • 灸法:冷えによる腹痛や婦人科疾患には温灸がよく用いられる。

禁忌・注意

  • 深刺による内臓損傷に注意(特に瘦せ型)。
  • 妊婦の腹部施術は控えるか慎重に行う。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

外陵(ST26)は、臍下部の気滞や痛みを調整する働きがあり、婦人科・消化器・泌尿器の広い範囲で応用されます。特に下腹部の気滞痛や月経痛には有用とされます。

臍下部に関連する経穴群(天枢・大巨・気海など)と組み合わせることで、より幅広い腹部症状に応用が可能となります。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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