名称
- 和名:膺窓(ようそう)
- 経穴:足の陽明胃経(ST16)
- 英名:Yingchuang (ST16)
取穴(位置・取り方)
- 第3肋間、前正中線から4寸外方に取る。
- 屋翳(ST15)の1肋間下方にあたり、乳頭のほぼ外側のライン上。
- 胸骨角を基準に肋間を数えると位置が確認しやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋層:大胸筋。
- 神経・血管:肋間神経・肋間動脈の枝。
- 深部は胸膜腔(肺尖部付近)に近接しており、過刺は気胸の危険がある。
東洋医学的機能(要点)
- 宣肺理気:肺気を通じさせ、咳嗽や胸悶を解消する。
- 寛胸止咳:胸中の痞えや咳を緩和する。
- 乳疾に応用:乳房腫脹、乳汁分泌不全などに利用される。
臨床応用
- 呼吸器:咳嗽、気管支炎、喘息。
- 循環器・胸部症状:胸痛、胸悶、動悸。
- 乳房疾患:乳腺炎、乳房の腫脹や疼痛、乳汁分泌不全。
刺鍼法
- 針具:直径0.14–0.20mm、長さ25–40mm。
- 刺入方向と深さ:
- 皮膚に対して斜め(外方あるいは外下方)に0.3–0.5寸(5–10mm程度)。
- 胸腔方向への直刺は禁忌。必ず浅刺で。
- 保持時間:10–15分。症状に応じて雀啄など軽い手技を加えることもある。
- 灸法:透熱灸・知熱灸いずれも可。慢性咳嗽や乳疾に温灸を応用することがある。
禁忌・注意
- 過刺による気胸リスクに最も注意。
- 乳房の炎症(急性期乳腺炎など)では強刺激を避ける。
- 授乳中の婦人に施術する場合は刺激量を調整する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 膺窓(ST16)は胸部症状や乳疾の治療における要穴です。
- 呼吸器症状では中府(LU1)、膻中(CV17)、肺兪(BL13)と組み合わせて、肺気の疏通を助け咳嗽や喘息を鎮めます。
- 胸中の痞塞感や動悸には内関(PC6)、巨闕(CV14)を配穴し、気機を調えると効果的です。
- 乳腺炎や乳房腫脹の際は乳根(ST18)、屋翳(ST15)、少沢(SI1)と組み合わせて乳絡を通し、乳汁分泌不全の改善にも応用されます。
- 庫房(ST14)、屋翳(ST15)、乳中(ST17)とあわせて胸部一帯の経穴群を活用し、局所循環を促すことが臨床のポイントです。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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