名称
- 和名:食竇(しょくとつ)
- 経穴:足の太陰脾経(SP17)
- 英名:Shídòu (SP17)
取穴(位置・取り方)
- 前胸部、第5肋間、前正中線(任脈)から外方6寸に取る。
- 乳頭の高さとほぼ同じ高さに位置する(乳中 ST17 と同じ高さ)。
- 肋間の陥凹を指で探り、脾経の走行に従って取穴する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:大胸筋、前鋸筋。
- 神経:第5肋間神経の外側皮枝。
- 血管:肋間動脈・静脈の分枝。
- 深部:胸膜腔に近接 → 深刺厳禁。
東洋医学的機能
- 寛胸理気:胸部の気滞を和らげる。
- 和胃降逆:胃の気を調え、逆気(吐き気・げっぷ)を鎮める。
- 止咳平喘:肺気の上逆を鎮め、咳嗽・喘息に用いられる。
臨床応用(主な適応)
- 胸部症状:胸の張り、胸痛、息苦しさ。
- 呼吸器症状:咳嗽、喘息、呼吸困難。
- 消化器症状:嘔吐、しゃっくり、胃のつかえ、食欲不振。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、15–30mm。
- 刺入方向と深さ:斜刺0.3–0.5寸(外斜めに刺す)。直刺は胸膜穿刺の危険あり。
- 灸法:温灸も可。胸の冷えや虚弱による胸部不快に応用される。
禁忌・注意
- 胸腔に近いため、直刺・深刺は厳禁。
- 乳腺炎や乳房疾患の急性期には使用を避ける。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
食竇(SP17)は、胸部・胃部の「気滞」や「逆気」に対応するツボで、特に胸のつかえ感や胃の不快感を伴う場合に有効です。脾経に属するため消化器症状に対しても用いられ、気の流れを整える目的で呼吸器症状にも応用されます。
- 胸の張り・胸痛:食竇(SP17)+膻中(CV17)+内関(PC6)
- 嘔吐・げっぷ・しゃっくり:食竇(SP17)+中脘(CV12)+足三里(ST36)
- 喘息・咳嗽:食竇(SP17)+天突(CV22)+肺兪(BL13)
胸部の症状と消化器症状をつなぐ位置にあるため、呼吸と消化の両面を調整するツボとして活用されます。特にストレス性の胸のつかえや、食後の膨満感に対して使いやすいポイントです。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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