名称
- 和名:天谿(てんけい)
- 経穴:足の太陰脾経(SP18)
- 英名:Tiānxī (SP18)
取穴(位置・取り方)
- 前胸部、第4肋間、前正中線(任脈)から外方6寸に取る。
- 乳頭の外側やや下方に位置し、乳中(ST17)の外下方に相当する。
- 肋間を触れて確認し、第4肋間の陥凹部を目安に取穴する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:大胸筋、前鋸筋。
- 神経:第4肋間神経の外側皮枝。
- 血管:肋間動脈・静脈。
- 深部:胸膜腔 → 深刺は気胸の危険。
東洋医学的機能
- 理気寛胸:胸部の気滞を緩和し、胸の張りや痛みを和らげる。
- 和胃降逆:胃気の上逆を鎮め、吐き気やげっぷを改善。
- 止咳平喘:肺気を調整し、咳嗽や喘息に有効。
- 通乳:母乳分泌不足や乳房の張りにも応用される。
臨床応用(主な適応)
- 胸部症状:胸痛、胸部膨満感、胸のつかえ。
- 呼吸器症状:咳嗽、喘息、呼吸困難。
- 消化器症状:嘔吐、しゃっくり、胃のもたれ。
- 婦人科・乳房疾患:乳汁分泌不足、乳房の張り、乳腺炎の補助療法。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、長さ15–30mm。
- 刺入方向と深さ:外斜刺0.3–0.5寸。直刺は禁忌(気胸のリスク)。
- 灸法:温灸・知熱灸が適応。冷えや乳汁分泌不足に有効。
禁忌・注意
- 深刺厳禁(胸膜穿刺による気胸リスク)。
- 乳腺炎の急性期では刺鍼を避ける。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
天谿(SP18)は、胸部の気滞や咳嗽・喘息などの呼吸器疾患に加え、母乳分泌不足や乳房トラブルにも応用される特徴的なツボです。胸部の「気滞」を流す作用を中心に用いられます。
- 咳嗽・喘息:天谿(SP18)+膻中(CV17)+肺兪(BL13)。
- 胸のつかえ・胸痛:天谿(SP18)+内関(PC6)+膻中(CV17)。
- 乳汁分泌不足:天谿(SP18)+膻中(CV17)+少沢(SI1)。
- 嘔吐・しゃっくり:天谿(SP18)+中脘(CV12)+足三里(ST36)。
胸部疾患と乳房疾患の両方に関わるため、母乳育児期の女性や胸部疾患患者に幅広く応用できるのが臨床上のポイントです。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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