胸郷まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:胸郷(きょうきょう)
  • 経穴:足の太陰脾経(SP19)
  • 英名:Xiōngxiāng (SP19)

取穴(位置・取り方)

  • 前胸部、第3肋間、前正中線(任脈)から外方6寸に取る。
  • 乳中(ST17)の外側・やや上方に位置し、天谿(SP18)の上方1肋間にあたる。
  • 第3肋間を触れて、肋間の陥凹を指で確認して取穴する。

解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:大胸筋、前鋸筋。
  • 神経:第3肋間神経の外側皮枝。
  • 血管:肋間動脈・静脈。
  • 深部:胸膜腔 → 深刺すると気胸の危険あり。

東洋医学的機能

  • 理気寛胸:胸中の気滞を解消し、胸のつかえや痛みを改善。
  • 和胃降逆:胃気の上逆を鎮め、嘔吐やしゃっくりに用いる。
  • 止咳平喘:肺気を調整し、咳嗽・喘息・呼吸困難を緩和。
  • 通乳:乳汁分泌の不足や乳房の張りにも応用される。

臨床応用(主な適応)

  • 胸部疾患:胸の張り、胸痛、息苦しさ。
  • 呼吸器疾患:咳嗽、喘息、慢性気管支炎。
  • 消化器疾患:嘔吐、しゃっくり、胃のもたれ。
  • 乳房疾患:乳汁分泌不足、乳腺炎の補助療法。

刺鍼法(安全重視)

  • 針具:0.20–0.25mm、長さ15–30mm。
  • 刺入方向と深さ:外斜刺で0.3–0.5寸。直刺は禁止(気胸リスク)。
  • 灸法:温灸・知熱灸が適応。冷えによる胸部症状や乳汁不足に有効。

禁忌・注意

  • 深刺は絶対禁忌(気胸のリスク大)。
  • 乳腺炎や炎症が強い場合は直接の刺鍼を避ける。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

胸郷(SP19)は、胸部の気滞・咳嗽・呼吸困難に応用されるほか、乳房疾患への補助穴としても活用されます。胸部疾患では天谿(SP18)膻中(CV17)と並んでよく組み合わせられます。

胸部に集まる「脾経の経気」を活かし、呼吸・消化・乳房のトラブルに幅広く対応できる点が臨床上の特徴です。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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