腹哀まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:腹哀(ふくあい)
  • 経穴:足の太陰脾経(SP16)
  • 英名:Fù’āi (SP16)

取穴(位置・取り方)

  • 腹部、臍の上方3寸、前正中線(任脈)から外方4寸に取る。
  • 腹直筋外縁上に位置する。
  • 臍を基準に、気海(CV6)から上方3寸に相当する高さで外方4寸を取穴の目安とする。

解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:腹直筋外縁、外腹斜筋腱膜。
  • 神経:第9肋間神経の前皮枝。
  • 血管:上腹壁動脈・静脈の分枝。

東洋医学的機能

  • 和中健脾:脾胃を調整し、消化吸収を助ける。
  • 調腸作用:便秘・下痢など腸の機能異常に対応。
  • 理気作用:腹部膨満や疼痛に応用される。

臨床応用(主な適応)

  • 消化器疾患:消化不良、胃痛、腹満、便秘、下痢。
  • 婦人科疾患:月経不順、下腹部痛。
  • 一般症状:腹部膨満感、腸鳴、不快感など。

刺鍼法(安全重視)

  • 針具:0.20–0.25mm、30–50mm。
  • 刺入方向と深さ:直刺0.5–1.0寸。痩せ型では特に深刺に注意。
  • 灸法:温灸は冷えや虚弱を伴う腹部不調に適応される。

禁忌・注意

  • 腹腔内臓器が近いため、過度な深刺を避ける。
  • 妊婦への腹部施術は原則として禁忌。
  • 拍動部や異常な圧痛部位は刺鍼を避ける。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

腹哀(SP16)は、大横(SP15)と同じく臍の高さや周囲の脾経のツボと組み合わせて腸の働きを整える目的で多用されます。特に、腹部の膨満感や消化不良に対して反応点として現れることがあり、腹診と併せて確認すると有効です。

臨床上では、脾胃の虚弱や気滞の改善を図る際に有効で、特に慢性的な腹部不調を訴える患者において有用な取穴となります。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

0 件のコメント:

コメントを投稿