名称
- 和名:大横(だいおう)
- 経穴:足の太陰脾経(SP15)
- 英名:Dàhéng (SP15)
取穴(位置・取り方)
- 腹部、臍の外方4寸に取る。
- 臍を中心にして外側へ指4本分ほどの位置、腹直筋の外縁上にある。
- 体型により位置がずれやすいので、臍を基準にして触診するのが確実。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:腹直筋の外縁、外腹斜筋腱膜。
- 神経:第10肋間神経の前皮枝。
- 血管:上腹壁動脈・静脈、下腹壁動脈・静脈の分枝。
東洋医学的機能
- 和中調腸:胃腸機能を調え、消化不良や便通異常に対応。
- 理気作用:気滞を流し、腹満や腹痛を改善する方向に働く。
- 通便作用:便秘や宿便に用いられる。
臨床応用(主な適応)
- 消化器疾患:腹満、便秘、下痢、腸鳴、消化不良。
- 婦人科疾患:月経不順、月経痛、産後の腹部不調。
- 腰腹部の違和感:腰痛や下腹部の張りに関連して応用されることがある。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、30–50mm。
- 刺入方向と深さ:仰臥位で直刺0.5–1.0寸程度。
- 注意点:腹腔内臓器に近いため、過度な深刺は避ける。
- 灸法:知熱灸や温灸は下腹部冷えや消化不良に応用できる。
禁忌・注意
- 痩せ型では特に深刺に注意。
- 妊娠中は腹部への強い刺激は禁忌。
- 強い圧痛や拍動を感じる場合は施術を控える。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
大横(SP15)は「腸の働きを整えるツボ」として、便秘や下痢など腸管機能異常にしばしば応用されます。特に臍の横にあるため、臨床で触診しやすく、腹診の反応点としても重要です。
- 便秘:大横(SP15)+天枢(ST25)+支溝(TE6) → 排便促進を図る。
- 下痢:大横(SP15)+天枢(ST25)+中脘(CV12)→ 脾胃を調え腸の働きを安定。
- 婦人科系:大横(SP15)+関元(CV4)+三陰交(SP6) → 月経痛・冷えを伴う下腹部不調に。
- 腰痛を伴う腹部症状:大横(SP15)+大腸兪(BL25) → 腹腰の気滞・便秘傾向に。
臨床では、便秘患者で圧痛が出やすいツボでもあり、腹診と併せて有効に活用されます。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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