名称
- 和名:腹結(ふっけつ)
- 経穴:足の太陰脾経(SP14)
- 英名:Fùjié (SP14)
取穴(位置・取り方)
- 下腹部、臍下1.3寸、前正中線から外方4寸に取る。
- 関元(CV4)からやや上方、気衝(ST30)に近い位置で、腹直筋の外側縁付近に取穴。
- 臨床的には、臍から下へ約1寸、そこから外方4寸に指を移動して触診する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:腹直筋鞘、外腹斜筋腱膜。
- 神経:腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経。
- 血管:下腹壁動脈・静脈、大腿動脈がやや内側を走行。
東洋医学的機能
- 理気和中:気の滞りを解消し、下腹部の膨満や疼痛を改善。
- 調経作用:月経不順や下腹部の冷えに用いられる。
- 利湿化痰:水湿や痰湿の滞りによる腹部の張りや重さに有効。
臨床応用(主な適応)
- 消化器疾患:腹満、腹痛、下痢、便秘。
- 婦人科疾患:月経痛、月経不順、子宮疾患。
- 泌尿器疾患:排尿困難、頻尿、膀胱炎。
- 鼠径部疾患:鼠径部痛、ヘルニア。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、30–50mm。
- 刺入方向と深さ:仰臥位で直刺0.5–1.0寸程度。
- 注意点:腹腔内臓器への損傷を避けるため、深刺は控える。痩せ型患者では特に注意。
- 灸法:知熱灸・温灸は下腹部冷えや婦人科疾患に有効。
禁忌・注意
- 深刺による内臓損傷に注意。
- 妊娠中は禁忌または慎用。
- 拍動を触れる場合は刺鍼を避ける。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
腹結(SP14)は「気血・水湿の結び目」を解くイメージで使われる穴で、特に腹部症状や婦人科疾患で有効です。腹部の張りやしこり感がある場合に効果を発揮します。
- 消化器系:腹結(SP14)+天枢(ST25)+大巨(ST27) → 腹満・便秘に。
- 婦人科系:腹結(SP14)+関元(CV4)+三陰交(SP6) → 月経痛・月経不順に。
- 泌尿器系:腹結(SP14)+中極(CV3)+曲骨(CV2) → 排尿困難・頻尿に。
- 鼠径部の違和感:腹結(SP14)+気衝(ST30) → ヘルニア・鼠径部痛に。
臨床では、下腹部の「結(けつ)」を緩めるツボとして理解すると応用しやすく、腹部の触診で圧痛や硬結がある際に積極的に用いると効果的です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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