名称
- 和名:府舎(ふしゃ)
- 経穴:足の太陰脾経(SP13)
- 英名:Fǔshè (SP13)
取穴(位置・取り方)
- 下腹部、臍下4寸、前正中線から外方4寸に取る。
- 鼠径部に近い位置で、大腿動脈の走行部に接しているため、正確な触診と位置確認が重要。
- 臨床では関元(CV4)の高さで外方に指4本分を目安に取ると分かりやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:腹直筋、外腹斜筋腱膜。
- 神経:腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経。
- 血管:下腹壁動脈・静脈、大腿動脈が近接。
東洋医学的機能
- 理気調血:気血の流れを整え、瘀血を除く。
- 調経作用:婦人科系の月経不調や下腹部の症状に有効。
- 利湿作用:下腹部の重だるさや水湿停滞に効果。
臨床応用(主な適応)
- 婦人科疾患:月経痛、月経不順、不正出血。
- 泌尿器疾患:排尿困難、頻尿、尿閉。
- 消化器疾患:下腹部膨満感、腸の蠕動異常。
- 鼠径部疾患:鼠径部痛、ヘルニア。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、30–50mm。
- 刺入方向と深さ:仰臥位で直刺またはやや外側へ向けて0.5–1.0寸程度。
- 重要注意点:大腿動脈や腹腔内臓器に近接するため、深刺・内方刺は避ける。拍動を必ず確認してから刺鍼。
- 灸法:知熱灸や棒灸も可能。冷えや月経痛に有効。
禁忌・注意
- 深刺・強刺激は避ける。特にやせ型の方では内臓損傷のリスクあり。
- 動脈拍動部に直接刺入しない。
- 妊娠中は慎用。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
府舎(SP13)は脾経の下腹部に属するツボで、気血と水湿の出入り口としての意味を持ちます。特に婦人科疾患や泌尿器系のトラブルで応用されることが多いです。
- 婦人科疾患:府舎(SP13)+関元(CV4)+三陰交(SP6) → 月経痛・不正出血に有効。
- 泌尿器疾患:府舎(SP13)+中極(CV3)+曲骨(CV2)→ 頻尿・排尿困難に。
- 下腹部の膨満感:府舎(SP13)+天枢(ST25)+大巨(ST27)。
臨床では、下腹部の張りや重だるさを訴える患者に対し、局所の調整穴として活用できます。ただし血管損傷のリスクがあるため、刺鍼時には細心の注意を払うことが重要です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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