箕門まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:箕門(きもん)
  • 経穴:足の太陰脾経(SP11)
  • 英名:Jimén (SP11)

取穴(位置・取り方)

  • 大腿内側、薄筋の外縁で、衝門(SP12)の下方6寸に取る。
  • 鼠径部から大腿内側を下方にたどり、薄筋の外側縁に沿って触れると取りやすい。
  • 大腿動脈の走行にきわめて近いため、触診時には脈動をよく確認する必要がある。

解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:縫工筋、長内転筋、薄筋。
  • 神経:大腿神経の枝(前皮神経)、閉鎖神経枝。
  • 血管:大腿動脈・静脈(すぐ近接するため注意)。

東洋医学的機能

  • 理気活血:気血の流れを調え、瘀血を散らす。
  • 通経作用:経脈の通りをよくして、下肢の痺れや痛みを改善。
  • 利湿作用:下肢のむくみや水腫を軽減する。

臨床応用(主な適応)

  • 婦人科:月経痛、月経不順、子宮出血。
  • 泌尿器系:排尿障害、頻尿、尿閉。
  • 下肢疾患:大腿内側の疼痛、痺れ、麻痺。
  • 浮腫:特に下肢のむくみに有効。

刺鍼法(安全重視)

  • 針具:0.20–0.25mm、30–50mm。
  • 刺入方向と深さ:直刺で0.5–1.0寸程度。
  • 重要注意点:大腿動脈が近接するため、必ず拍動を確認し、動脈を避けて刺入すること。深刺や角度を誤ると血管損傷の危険がある。
  • 灸法:灸も可能。冷えやむくみが強い場合に有効。

禁忌・注意

  • 動脈拍動部に直接刺入しない。
  • 深刺を避け、浅く経絡の反応を取るイメージが安全。
  • 妊娠中は慎用。特に下腹部・大腿内側への強刺激は避ける。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

箕門は「門」の字が示すように、気血や水湿の出入りを調える重要なポイントです。婦人科疾患や泌尿器系疾患への応用が多く、局所の大腿内側痛・痺れにも有効です。

刺鍼の際は動脈損傷のリスクがあるため、あえて深刺せずに、経絡の通りを意識して軽刺激で用いると臨床的に安全かつ効果的です。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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