名称
- 和名:漏谷(ろうこく)
- 経穴:足の太陰脾経(SP7)
- 英名:Lougu (SP7)
取穴(位置・取り方)
- 下腿内側、脛骨内側縁の後方で、地機(SP8)の下方3寸に取る。
- 三陰交(SP6)から数えてさらに上方6寸の部位で、脛骨内側縁を指でなぞると触れやすい。
- 脾経の下肢経路上にあり、水液代謝と関係の深い部位とされる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:ヒラメ筋、長趾屈筋。
- 神経:脛骨神経の枝。
- 血管:後脛骨動脈・静脈。
東洋医学的機能
- 利水作用:水湿をさばき、むくみや下肢の重だるさに応用される。
- 脾気を補う:消化吸収機能を助け、胃腸虚弱や倦怠感を改善する方向に働く。
- 通絡:下肢の経絡を通じさせ、痺れや筋肉の不調に対応する。
臨床応用(主な適応)
- 浮腫・水腫:特に下肢のむくみに広く用いられる。
- 消化器系:胃腸虚弱、腹部膨満感、下痢。
- 下肢症状:足の冷え、しびれ、倦怠感。
- 婦人科:月経不順や下腹部の重だるさ。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、30–40mm。
- 刺入方向と深さ:直刺で0.5–1.0寸。筋肉層まで刺入可能。
- 灸法:むくみや冷えを伴う症例では温灸が適する。
禁忌・注意
- 下腿の血管や神経に近いため、深刺や強刺激は避ける。
- 妊娠中は過度の刺激を避け、必要な場合は専門家の判断を仰ぐ。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
漏谷は「水を漏らす谷」という名前の通り、水湿の停滞に働きかける穴として古来より知られています。特にむくみや下肢のだるさに適しており、局所治療だけでなく全身の水分代謝を整える目的で使われます。
- 下肢のむくみ:漏谷(SP7)+陰陵泉(SP9)+三陰交(SP6)。
- 消化器虚弱:漏谷(SP7)+足三里(ST36)+脾兪(BL20)。
- 婦人科系:漏谷(SP7)+地機(SP8)+関元(CV4)。
- 下肢倦怠・しびれ:漏谷(SP7)+陰陵泉(SP9)+懸鐘(GB39)。
足の太陰脾経に属するため、消化器系や水分代謝の症状に広く応用でき、むくみと胃腸虚弱が同時にある場合に特に適応しやすい穴です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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