気衝まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:気衝(きしょう)
  • 経穴:足の陽明胃経(ST30)
  • 英名:Qichong (ST30)

取穴(位置・取り方)

  • 下腹部、臍の下5寸、中行(正中線)から外方2寸に取る。
  • 恥骨結合上縁の高さ、中極(CV3)の外方2寸に相当する。
  • 鼠径部に近い位置で、腹部の脈動(大腿動脈の拍動)を触れると確認できる。

解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:腹直筋鞘下部。
  • 神経:腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経。
  • 血管:下腹壁動脈・静脈、大腿動脈分枝。
  • 深部:膀胱・小腸、女性では子宮に近接。

東洋医学的機能

  • 気血調整:下腹部に集まる気血を調整し、生殖機能を高める。
  • 衝脈を調える:衝脈の起始部であり、衝脈の病症(下腹部痛・月経異常・不妊)に効果的。
  • 理気止痛:気滞や瘀血による下腹部の疼痛を和らげる。

臨床応用(主な適応)

  • 婦人科疾患:不妊症、月経不順、月経痛、子宮出血、閉経障害。
  • 泌尿器疾患:頻尿、排尿障害。
  • 消化器疾患:下腹部痛、腹満。
  • 性機能障害:インポテンツ、遺精、精巣の腫脹。

刺鍼法(安全重視)

  • 針具:0.16–0.25mm、30–50mm。
  • 刺入方向と深さ:直刺で0.5–1.0寸。
    大腿動脈の拍動部に極めて近いため、動脈を避けるように浅めに取る。
  • 灸法:冷えを伴う婦人科疾患、不妊症に有効。

禁忌・注意

  • 大腿動脈が近いため、深刺・強刺は厳禁。
  • 妊娠中は禁忌(流産の危険性がある)。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

気衝は「衝脈の起始部」として特に婦人科疾患や生殖機能の調整に重視される経穴です。臨床では、衝脈に関わる気血の調整を行う要穴として応用されます。

婦人科だけでなく、男女ともに「生殖機能の要穴」として考えると臨床応用の幅が広がります。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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