兌端まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:兌端(だたん)
  • 経穴:督脈(GV27)
  • 英名:Duiduan (GV27)


取穴(位置・取り方)

  • 上唇正中線上、上唇と歯肉(上歯龈)の移行部に取る。
  • 水溝(GV26)の直下にあり、上唇の赤唇部のやや内側(粘膜面)に位置する。
  • 軽く唇を開いた状態で上唇の内側に触れると、境界部に小さな陥凹を感じる。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚(粘膜)、皮下組織。
  • 筋肉:上唇挙筋、口輪筋。
  • 神経:上唇枝(顔面神経・三叉神経第二枝由来)。
  • 血管:上唇動脈・静脈。


東洋医学的作用(要点)

  • 開竅蘇厥: 意識を開き、昏厥や卒倒を救う。
  • 通絡止痛: 顔面部の経絡を通し、口唇・歯・顎の痛みを鎮める。
  • 調和口唇: 唇部の痙攣・麻痺・口角炎などに有効。


主な適応

  • 昏厥、気絶、卒中、てんかん発作。
  • 口唇麻痺、口唇の痙攣。
  • 歯痛、上顎部痛。
  • 口渇、唇乾、口角炎。
  • 精神不安、癲癇様症状。


刺鍼法(安全重視)

  • 刺入方向: 皮内またはやや下方へ向けて浅刺。
  • 刺入深さ: 0.1〜0.2寸(約2〜4mm)。
  • 灸法: 不可(粘膜部のため)。
  • 注意: 粘膜部で感染リスクがあるため、刺鍼時は必ず清潔操作を徹底する。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 兌端(GV27)は、督脈の最前端に位置する「意識開発・口唇調整」の要穴です。 古典では「開竅蘇厥(けいきょうそけつ)」の穴として、水溝(GV26)と並び意識障害時の救急穴とされました。 また、口唇の麻痺や顔面神経麻痺後遺症にもしばしば用いられます。
  • ① 昏厥・卒倒・癲癇作: 兌端(GV27)+水溝(GV26)中衝(PC9)涌泉(KI1)
  • ② 顔面麻痺・口唇麻痺: 兌端(GV27)+地倉(ST4)頬車(ST6)合谷(LI4)
  • ③ 口唇乾燥・口渇: 兌端(GV27)+承漿(CV24)+三陰交(SP6)
  • 兌端は「気を蘇らせる端点」として、全身の気機を呼び戻す重要な急処の一つです。 その位置関係から、督脈の「陽気を外へ開く端点」として用いられることもあります。


※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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