名称
- 和名:璇璣(せんき)
- 経穴:任脈(CV21)
- 英名:Xuánjī (CV21)
取穴(位置・取り方)
解剖(近接構造)
- 皮下に胸骨柄があり、その深部に胸腔上口(上縦隔)が位置する。
- 内部には気管・大血管(腕頭静脈など)・胸腺などが存在。
- 支配神経:鎖骨上神経および第1肋間神経の前皮枝。
- 血管:内胸動脈およびその穿通枝。
東洋医学的作用(要点)
- 降逆平喘: 気の逆上(気逆)を鎮め、咳・喘・息苦しさを和らげる。
- 開胸利咽: 胸中の滞りを除き、咽喉の通りを良くする。
- 寛胸理気: 胸中の気鬱・緊張感・閉塞感を解消する。
主な適応
- 咳嗽、喘息、気逆(息が上がる)。
- 胸痛、胸悶、胸中痞塞感。
- 咽喉腫痛、咽中閉塞、喉の違和感。
- ヒステリー性呼吸困難、過呼吸。
- 情志による胸部・咽頭部の閉塞感(梅核気)。
古典的記載・応用例
- 『鍼灸甲乙経』:「主胸満、咳嗽、喘息。」
- 『銅人腧穴鍼灸図経』:「治気上逆、咳嗽喘急。」とあり、呼吸困難・咳逆上気に用いるとされる。
- 『針灸大成』:「咽喉閉塞、喘息、胸痞満を治す。」と記載。
刺鍼法・施灸法
- 刺鍼: 斜刺 0.2〜0.5寸。 皮下に浅く刺入し、胸骨に沿って下方またはやや外方に向ける。 深刺すると気管・大血管に接近するため、非常に慎重を要する。
- 灸法: 温灸または知熱灸が良い。虚寒による咳嗽や喘息に効果的。
- 禁忌: 深刺および直刺は厳禁(気管・大血管を避ける)。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 璇璣(CV21)は任脈の胸上部にあり、肺気の上逆を抑え、胸中の鬱滞を開く作用を持ちます。 特に呼吸器系疾患やヒステリー様の喉閉感(梅核気)に用いられる代表穴です。
- ① 咳嗽・喘息:璇璣(CV21)+天突(CV22)+膻中(CV17)+太淵(LU9)→ 呼吸の通りを改善し、胸満・咳嗽・喘息に有効。
- ② 胸悶・胸中鬱滞:璇璣(CV21)+華蓋(CV20)+期門(LR14)+内関(PC6)→ 上中焦の気機を通し、胸中の詰まりや情緒的圧迫を解消。
- ③ 咽中閉塞・梅核気:璇璣(CV21)+天突(CV22)+合谷(LI4)+太衝(LR3)→ 肝気鬱結による咽喉閉塞感を改善。精神的ストレス症状にも。
- ④ 動悸・不安・気逆:璇璣(CV21)+膻中(CV17)+内関(PC6)+神門(HT7)→ 自律神経・心包経を整え、ストレス性の息詰まりや不安に対応。
- 璇璣は「璇(回転)+璣(天の軸)」という名の通り、 上焦(胸部・咽喉)の“気の軸”を正す中心点です。 呼吸が浅い・喉が詰まる・胸が重いといった「上焦の閉塞」に対して極めて有効です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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