名称
- 和名:腕骨(わんこつ)
- 経穴:手の太陽小腸経(SI4)、原穴
- 英名:Wangu (SI4)
取穴(位置・取り方)
- 手関節部、尺側にある豆状骨の遠位、第五中手骨底との間の陥凹部に取る。
- 手の小指側で、手首を軽く背屈すると陥凹が明瞭になる。
- 小腸経の原穴であり、全身の調整や経気の補瀉に重要。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 骨:豆状骨と第五中手骨底。
- 神経・血管:尺骨神経浅枝、手背尺側皮神経、小手動脈枝が近接。
東洋医学的機能(要点)
- 原穴作用:小腸経の原穴であり、臓腑経絡の調整に用いる。
- 清熱作用:小腸経・心経の熱を鎮める。
- 利尿作用:小腸と膀胱の関係から排尿障害や浮腫に有効。
- 鎮痛作用:手関節痛、肩背部痛など経絡沿線の痛みに効果。
臨床応用
- 手関節の腱鞘炎や関節炎には、腕骨(SI4)を陽谷(SI5)、合谷(LI4)と組み合わせ、炎症を抑え疼痛を改善します。
- 耳鳴りや難聴などの耳疾患には、腕骨(SI4)を聴宮(SI19)、聴会(GB2)と併用して小腸経の通路を通し、聴覚症状を改善します。
- 排尿困難や浮腫には、腕骨(SI4)を中極(CV3)、腎兪(BL23)と組み合わせ、小腸と膀胱の経気を調整します。
- 心煩・不眠・焦燥感には、腕骨(SI4)を神門(HT7)、内関(PC6)と合わせて安神作用を高めます。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方法:直刺または斜刺で0.3〜0.5寸(約10〜15mm)。
- 推奨針サイズ:直径0.16〜0.20mm、長さ15〜30mm。
- 灸法:温灸・知熱灸で関節痛や冷えを伴う排尿障害に有効。
- 注意点:深刺しすぎると骨膜を刺激しやすいため、軽めの刺鍼が望ましい。
禁忌・注意
- 骨際への過剰刺激は避ける。
- 手関節部の炎症や腫脹が強い場合は灸法を中心に用いる。
- 虚弱体質や高齢者では刺激量を軽めに調整する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 腕骨(SI4)は小腸経の原穴であり、局所の手関節疾患だけでなく、耳疾患や泌尿器系症状、心神不安にも応用できる万能性を持ちます。
- 手関節痛では陽谷(SI5)、合谷(LI4)との組み合わせで炎症抑制と鎮痛を行います。
- 耳疾患では聴宮(SI19)、聴会(GB2)と組み合わせ、経絡の通りを良くします。
- 排尿困難や浮腫には中極(CV3)、腎兪(BL23)を加えると効果的です。
- 心煩・不眠には神門(HT7)、内関(PC6)と合わせ、心腎交通を整えて安神効果を発揮します。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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