名称
- 和名:肩髃(けんぐう)
- 経穴:手の陽明大腸経(LI15)
- 英名:Jianyu (LI15)
取穴(位置・取り方)
- 肩関節前外側部、肩峰と上腕骨大結節の間の陥凹部に取る。
- 肩関節を外転させると、三角筋前縁と肩峰の間にくぼみが現れ、そこを目安とする。
- 巨骨(LI16)の下方、臂臑(LI14)の上方に位置する要穴。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:三角筋、棘上筋、棘下筋。
- 神経:腋窩神経、肩甲上神経の枝。
- 血管:後上腕回旋動脈、肩峰枝。
- 関節:肩関節包。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 舒筋利関:筋肉・関節を舒展させ、肩の運動障害に応用された。
- 祛風通絡:風寒湿の影響による肩部の痺痛・拘急を緩和するとされた。
- 調気止痛:局所の痛みを鎮める目的で用いられた。
古典的応用例
- 肩関節疾患:肩背の痛み・運動障害・挙上困難。『鍼灸甲乙経』に「肩痛を治す」との記載。
- 上肢疾患:上腕の痺れ、麻痺、筋肉の萎縮など。
- 風湿痺:肩関節周囲の風寒湿による痛みやこわばりに用いられた。
- 皮膚疾患:一部の古典では瘡癰(できもの)にも応用の記載がある。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方法:直刺または斜刺、0.8〜1.2寸。
- 古典的記載:肩関節痛や挙上困難に応用された。
- 灸法:冷えや慢性痛には温灸が行われた。
※本記事は古典文献を整理した教育的まとめであり、現代医療の効果を保証するものではありません。刺鍼に際しては関節包や神経・血管の位置に留意が必要です。
禁忌・注意(参考)
- 過度に深刺すると関節包や神経を損傷するおそれがある。
- 炎症の強い急性期には刺激を控えることが望ましい。
- 妊婦・高齢者には体調に応じて軽刺激とする。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 肩関節周囲炎・五十肩:巨骨(LI16)、肩髎(TE14)と組み合わせて、肩の挙上困難や運動制限の改善を図った。
- 頸肩部の緊張:風池(GB20)、合谷(LI4)と併用して、風寒による項強・肩背痛を調整した。
- 上肢の痺れ・麻痺:曲池(LI11)、手三里(LI10)と併用し、手の陽明経の疏通を促した。
- 慢性肩痛:肩貞(SI9)、天宗(SI11)と組み合わせ、局所循環を整える目的で用いられた。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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