名称
- 和名:石門(せきもん)
- 経穴:任脈(CV5)、三焦の募穴
- 英名:Shimen (CV5)
取穴(位置・取り方)
- 前正中線上、臍の下方2寸。
- 臍下3寸にある関元(CV4)と臍を結び、その上1寸に取る。
- 三焦の募穴として、水液代謝や生殖機能に関係する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋層:腹直筋鞘。
- 神経・血管:下腹壁動静脈、前皮神経枝。
- 深部臓器:膀胱、子宮(女性)。刺鍼は膀胱・生殖器への影響を考慮して慎重に行う。
東洋医学的機能(要点)
- 利水化湿:小便不利、浮腫に用いる。
- 調経安胎:月経不調、不妊症、妊娠の安胎に働く。
- 理気止痛:下腹部痛、疝気、癥瘕に応用。
臨床応用(水分代謝・婦人科疾患など)
- 小便不利や浮腫には、石門(CV5)を水分(CV9)、陰陵泉(SP9)と組み合わせ、利水化湿を促進します。
- 月経不調や不妊症には、石門(CV5)を関元(CV4)、三陰交(SP6)と組み合わせ、胞宮を温養して調経安胎を図ります。
- 下腹部の疼痛や疝気には、石門(CV5)を気海(CV6)、大赫(KI12)とあわせて、理気止痛を行います。
- 婦人科の癥瘕や子宮筋腫などには、石門(CV5)を子宮(EX-CA1)、血海(SP10)と組み合わせ、瘀血を去り胞宮の働きを整えます。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.18–0.22mm、長さ30–50mm。
- 刺入方向と深さ:
- 皮下に直刺0.5–1.0寸。
- 下腹部は臓器に近いため、深刺や強い直刺は禁忌。
- 灸も有効で、冷えや虚証に応用される。
- 保持時間:10–15分。利水作用を期待する場合はやや長めに置鍼。
禁忌・注意
- 妊娠中は安胎の目的以外では慎用する。
- 膀胱や子宮に近いため、深刺は避ける。
- 感染や急性炎症を伴う場合は施術を控える。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 浮腫や小便不利には、石門(CV5)を水分(CV9)、陰陵泉(SP9)と組み合わせると、利水効果が高まります。
- 月経不順や不妊症には、石門(CV5)を関元(CV4)、三陰交(SP6)とあわせることで、子宮の機能を調え妊娠力を高めます。
- 下腹部痛や疝気には、石門(CV5)を気海(CV6)、帰来(ST29)と併用することで、気血の流れを改善して痛みを和らげます。
- 婦人科系の癥瘕や瘀血には、石門(CV5)を子宮(EX-CA1)、血海(SP10)と組み合わせて、瘀血を去り胞宮の働きを正常化します。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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