任脈下腹部三穴 ― 気海・関元・中極の使い分け

任脈下腹部三穴:気海(CV6)関元(CV4)中極(CV3)

任脈の下腹部には、臨床で極めて使用頻度が高い三大要穴「気海(CV6)」「関元(CV4)」「中極(CV3)」があります。 いずれも婦人科・泌尿器疾患をはじめ、全身の虚弱症状に幅広く応用される重要なツボです。


三穴の位置と特徴

  • 気海(CV6):臍下1.5寸。
    元気の海。全身の気を補う代表穴。冷え・疲労・虚弱体質に用いられる。
  • 関元(CV4):臍下3寸。
    任脈の要穴で、腎を補い生殖機能を強める。不妊・月経不順・更年期障害に必須。
  • 中極(CV3):臍下4寸。
    膀胱の募穴で、泌尿器疾患の特効穴。頻尿・膀胱炎・排尿困難に応用。

東洋医学的な役割の違い

  • 気海(CV6):気を補い全身の活力を高める。
  • 関元(CV4):腎精を養い、生殖・発育・老化防止に寄与。
  • 中極(CV3):膀胱経と密接に関連し、排尿や下焦の水分代謝を調整。

臨床応用の比較

経穴 主な適応 特徴的な使い方
気海(CV6) 疲労・冷え・慢性消化器疾患 元気不足や気虚の症状に補法や灸で使用
関元(CV4) 不妊・月経不順・更年期障害 婦人科疾患に必須穴。腎虚タイプに有効
中極(CV3) 頻尿・尿閉・膀胱炎 泌尿器系の要穴。温灸で冷えを改善

刺鍼と灸の使い分け

  • :虚弱体質では浅く補法。不妊症や月経痛には軽い捻鍼。
  • :冷え性・婦人科・泌尿器疾患では灸が特に有効。棒灸や台座灸で温める。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

0 件のコメント:

コメントを投稿