名称
- 和名:欠盆(けつぼん)
- 経穴:足の陽明胃経(ST12)
- 英名:Quepen (ST12)
取穴(位置・取り方)
- 鎖骨上窩、鎖骨の上縁、胸鎖乳突筋の外側縁に取る。
- 気舎(ST11)の上方に位置し、鎖骨のすぐ上のくぼみを目安とする。
- 頸肩部の気血の要衝にあたり、古典的に上肢・胸部の症状に関わる穴とされた。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:胸鎖乳突筋、斜角筋群。
- 神経:鎖骨上神経、腕神経叢。
- 血管:鎖骨下動脈・静脈、内頸静脈の合流部。
- その他:胸腔入口部に近接。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 降気化痰:胸中の気塞・痰飲を整える目的で用いられた。
- 宣胸理気:胸部の気滞・胸満・咳嗽に応用された。
- 通絡止痛:肩背や上肢の経絡の流れを整えるとされた。
古典的応用例
- 呼吸器疾患:咳嗽、喘息、胸満、痰飲。『甲乙経』では胸中の痰嗽・咳逆を治すと記載される。
- 咽喉疾患:咽中閉塞、咽腫。気舎・天突とあわせて「利咽」の要穴とされた。
- 肩背・上肢疾患:肩や腕の麻痺・運動障害。腕神経叢の出口に近く、古典でも上肢症状に応用された。
- 瘰癧:鎖骨上窩のリンパ節腫脹や頸部腫瘤の調整に用いられた。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方法:0.3〜0.5寸、直刺または斜刺。
- 古典的記載:胸満・咳嗽・肩臂痛に用いるとされる。
- 灸法:瘰癧・咳嗽に対して温灸が施された例がある。
※本記事は古典文献に基づく教育的まとめであり、現代医療の効果を保証するものではありません。鎖骨下動静脈や肺尖部が近いため、深刺は極めて危険であり、施術は必ず国家資格を持つ専門家のもとで行ってください。
禁忌・注意(参考)
- 肺尖部に近接するため、深刺は気胸の危険がある。
- 鎖骨下動静脈・腕神経叢が近接するため、方向・深度を誤らないよう注意。
- 未熟な施術者による刺鍼は厳禁。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 咳嗽・喘息:人迎(ST9)、天突(CV22)と組み合わせて、胸気の通達を図った。
- 胸満・痰飲:肺兪(BL13)、列缺(LU7)と併用して、痰気を降ろす目的で配穴された。
- 肩背・上肢症状:肩髃(LI15)、曲池(LI11)と連携し、腕神経叢の通達を意識して応用された。
- 瘰癧・頸腫:扶突(LI18)、天窓(SI16)とあわせて、頸部リンパ節腫脹の調整に使われた。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
0 件のコメント:
コメントを投稿