名称
- 和名:気舎(きしゃ)
- 経穴:足の陽明胃経(ST11)
- 英名:Qishe (ST11)
取穴(位置・取り方)
- 頸部、鎖骨上窩、胸鎖乳突筋の外側縁、鎖骨の上縁陥凹部に取る。
- 人迎(ST9)の下方に位置し、鎖骨上窩の最上部を指標とする。
- 気管の外側にあり、呼吸器・咽喉の不調と関わる経穴として記録されている。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織、広頸筋。
- 筋肉:胸鎖乳突筋、斜角筋群。
- 神経:頸神経叢、迷走神経の分枝。
- 血管:頸動脈、鎖骨下動脈・静脈の分枝。
- その他:気管、食道の外側に近接。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 宣肺利咽:咽喉腫痛、呼吸困難、発声障害に応用された。
- 理気化痰:痰の停滞による咳嗽や気逆を整える目的で用いられた。
- 通絡止痛:頸部の気滞による腫脹や疼痛を調整する要穴とされた。
古典的応用例
- 咽喉疾患:咽喉腫痛、嗄声、失音。『甲乙経』には咽の閉塞・呼吸困難に用いる記載がある。
- 呼吸器疾患:喘息、気逆、咳嗽。『千金方』では「気塞を治す」とされ、急な呼吸困難に用いられた。
- 頸項部疾患:瘰癧、頸部腫脹、気滞による疼痛。『玉龍歌』には「咽腫を消す要穴」として記載がある。
- 全身症状:胸満・咳嗽とともに気塞を解く作用があると古典に伝えられる。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方法:0.3〜0.5寸、斜刺または平刺。深刺は頸動脈・鎖骨下動静脈へのリスクがあるため禁忌。
- 古典的記載:咽喉腫痛・呼吸困難に対して用いられたとされる。
- 灸法:瘰癧・頸腫の記載において温灸が補助的に応用された例がある。
※本記事は古典文献に基づく教育的まとめであり、現代医療の効果を保証するものではありません。大血管が近く危険性が高いため、施術は必ず国家資格を持つ専門家のもとで行ってください。
禁忌・注意(参考)
- 頸動脈・鎖骨下動静脈に隣接しているため、深刺は厳禁。
- 気管・食道に近いため、方向を誤ると重大な危険がある。
- 頸部は急変リスクがある部位のため、未熟者の施術は避ける。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 咽喉疾患:廉泉(CV23)、天牖(SI17)と併用し、咽喉腫痛・嗄声に対処するとされた。
- 呼吸困難・気逆:人迎(ST9)、天突(CV22)と合わせて「利気開塞」を目的に用いられた。
- 瘰癧・頸腫:扶突(LI18)、天窓(SI16)と組み合わせ、頸部リンパ節腫脹や瘰癧に応用された。
- 慢性咳嗽:肺兪(BL13)、列缺(LU7)と連携して、肺気の流通を助ける目的で配穴された。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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