名称
- 和名:十宣(じっせん)
- 経穴分類:奇穴
- 由来:両手の十指末端に位置するため「十宣」と呼ばれる。
- 別称:十指端穴、十指尖。
取穴(位置・取り方)
- 両手十指の尖端、爪甲のやや内側に取る(左右で10か所)。
- 爪甲角から約0.1寸内方にある点を基準とする。
- 出血させる刺絡療法に応用されることが多い。
解剖(近接構造)
- 皮膚・皮下組織(末梢血管網が豊富)。
- 末梢神経末端が集中する部位。
東洋医学的機能
- 清熱開竅:邪熱を清し、意識を回復させるとされる。
- 醒神安脳:精神を安定させ、痙攣を鎮める作用があると伝えられる。
- 行気活血:気血の流れを促し、急症に対応する穴とされる。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:中風・癲癇・昏迷・狂症などに用いると記載。
- 『鍼灸大成』:高熱による神昏や癲狂、驚風に応用されるとされる。
- 古来より「急救の穴」として知られ、痙攣や昏睡状態など急性症状への対応が強調されている。
刺鍼法(参考・古典的記載)
- 刺入方法:刺絡が中心で、指尖部を浅く刺し微量の出血を得る。
- 刺入深度:0.1〜0.2寸程度。
- 灸法:ほとんど用いられないが、小灸をする記載もある。
※教育・研究目的の古典的記載です。実施は必ず専門家の判断に従ってください。
禁忌・注意
- 過剰な出血は避けること。
- 小児や高齢者では慎重に行う必要がある。
- 感染防止のため清潔操作を徹底する。
臨床のコツ・組み合わせ
- 高熱・神昏・癲癇:十宣に刺絡し、大椎(GV14)、水溝(GV26)と組み合わせる。
- 中風昏迷:内関(PC6)、合谷(LI4)、涌泉(KI1)と併用して意識回復を図る。
- 小児驚風・痙攣:十宣刺絡とともに少商(LU11)、少衝(HT9)を組み合わせるとされる。
- 熱性疾患の初期:少商(LU11)、大椎(GV14)と組み合わせて瀉熱を強める。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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