名称
- 和名:陰郄(いんげき)
- 経穴:手の少陰心経(HT6)、郄穴
- 英名:Yinxi (HT6)
取穴(位置・取り方)
- 前腕前内側、手関節横紋の上方0.5寸、尺側手根屈筋腱の橈側縁に取る。
- 神門(HT7)の上0.5寸に位置する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:尺側手根屈筋、浅指屈筋。
- 神経:尺骨神経。
- 血管:尺骨動脈の枝。
東洋医学的機能(要点)
- 養陰清熱:心陰不足による虚熱・盗汗を改善。
- 安神寧心:不安・驚悸・不眠など精神神経症状を鎮静。
- 止汗作用:特に盗汗や自汗に対する重要な処方穴。
- 郄穴の特性:急性疾患や出血に対して有効。
臨床応用(精神神経疾患・虚熱症状など)
- 盗汗・寝汗には、陰郄(HT6)を復溜(KI7)と併用することで発汗調整作用を強化します。
- 心陰不足による不眠・不安・驚悸には、陰郄(HT6)を神門(HT7)、内関(PC6)と組み合わせると安神効果が高まります。
- 虚熱による口渇や五心煩熱には、陰郄(HT6)を少府(HT8)、太谿(KI3)と併用するのが有効です。
- 急な心悸や胸痛発作には、陰郄(HT6)を内関(PC6)、膻中(CV17)と併用して救急的に応用します。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方法:直刺または斜刺、0.3〜0.5寸。
- 灸法:盗汗・自汗などには温灸・知熱灸も応用される。
禁忌・注意
- 深刺は避ける。特に尺骨動脈や尺骨神経を損傷しないように注意。
- 実熱証よりも虚熱・陰虚の症状に使うことが多い。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 陰郄(HT6)は盗汗の特効穴として知られており、復溜(KI7)とセットで用いると汗の調整作用が一層高まります。
- 心陰不足による不眠や動悸には、陰郄(HT6)を神門(HT7)、安眠の内関(PC6)と組み合わせるのが効果的です。
- 胸痛や急な心悸の発作時には、陰郄(HT6)と内関(PC6)、膻中(CV17)を同時に使うと応急的に症状を鎮めやすいです。
- 陰虚火旺の口渇・手足心熱には、陰郄(HT6)と少府(HT8)、太谿(KI3)を組み合わせて清虚熱します。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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