名称
- 和名:十王(じゅうおう)
- 経穴分類:奇穴
- 別名:十王穴、掌後穴 など。
- 由来:「十王」とは冥府の十王に喩え、邪を制し、急病を救う効があることから名づけられたとされる。
取穴(位置・取り方)
- 手背、第2〜4中手指関節の間、手背横紋上に取る。
- また古籍によっては「手背十指の間、各1穴」と記す場合もあり、実際の位置には伝承差がある。
解剖(近接構造)
- 手背静脈網。
- 背側中手動脈・背側指神経の枝が走行。
- 比較的浅層に血管が豊富で、刺絡による用法が多い。
東洋医学的機能
- 清熱解毒:熱邪を瀉し、毒を散ずる。
- 醒脳開竅:意識を回復させ、急症に対処する。
- 疏風止痙:風邪を祓い、痙攣を鎮める。
古典的応用例
- 『奇穴図考』:癲癇、小児驚風、熱病の高熱に刺絡すると記載。
- 『鍼灸聚英』:咽喉腫痛、熱中症、意識昏迷などの急証に用いる。
- 一部文献では、赤痢・痘瘡など伝染性疾患における清熱解毒の補助穴とされている。
刺鍼法(参考・古典的記載)
- 主な用法:刺絡が基本。点状に皮膚を刺し、少量の血を瀉す。
- 刺鍼はほとんど用いず、灸法も一般的ではない。
※教育・研究目的の古典的記載です。実際の施術は必ず有資格者の指導を受けてください。
禁忌・注意
- 刺絡による出血部位であるため、感染防止に留意。
- 貧血や出血傾向のある患者には慎重に扱う。
- 古典では「急症用」とされ、常用は控えるべきと記される。
臨床のコツ・組み合わせ
- 高熱・意識障害:十宣、涌泉(KI1)と併用し、醒脳開竅を図る。
- 小児驚風・癲癇発作:大王、労宮(PC8)、合谷(LI4)と組み合わせる。
- 咽喉腫痛・熱毒:少商(LU11)、商陽(LI1)、魚際(LU10)と併用。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
0 件のコメント:
コメントを投稿