名称
- 和名:大王(だいおう)
- 経穴分類:奇穴
- 別名:手心、大陵外穴 などの呼称が古籍にみられる。
- 由来:「大王」とは、心の君主の意を含み、心包経の代表穴・大陵と近接することから名づけられたとされる。
取穴(位置・取り方)
- 手掌の中央部、労宮(PC8)のやや近位に取るとされる。
- 手掌の横紋中央、第三・第四中手骨の間付近を目安とする。
- 文献によって位置に若干の差異あり。
解剖(近接構造)
- 掌腱膜中央部。
- 浅掌動静脈弓、正中神経掌枝の分布領域。
- 手掌の気血・神経が集中する部位で、心包経・心経の働きに関与する要穴と考えられる。
東洋医学的機能
- 清心安神:心火を清め、精神を安定させる。
- 醒脳開竅:意識を開き、痙攣・昏迷を治す。
- 寧心安眠:心気を整えて眠りを安定させる。
古典的応用例
- 『鍼灸大成』:心痛・驚悸・癲狂などに効ありとする。
- 『奇穴図考』:小児驚風・癲癇・不眠に用いると記載。
- また一説に、胸痛・心悸・掌中熱など心包経の症状全般に応用されるとされる。
刺鍼法(参考・古典的記載)
- 刺入方法:直刺0.3〜0.5寸、あるいは浅刺。
- 瀉法:心火亢盛・癲狂・高熱には刺絡が行われた記載あり。
- 灸法:直接灸・透熱灸が用いられた例がある。
※教育・研究目的の古典的記載です。実施は必ず専門家の判断に従ってください。
禁忌・注意
- 深刺は避ける(掌腱膜・血管損傷の恐れ)。
- 小児や虚弱者では軽刺激にとどめる。
- 掌は日常使用が多く、施術後の感染に注意。
臨床のコツ・組み合わせ
- 心痛・心悸:内関(PC6)、巨闕(CV14)、神門(HT7)と併用。
- 癲癇・小児驚風:十宣(奇穴)、労宮(PC8)、涌泉(KI1)と組み合わせ意識を開く。
- 不眠・多夢:安眠、三陰交(SP6)、神門(HT7)との組み合わせが有効。
- 掌中熱・手掌多汗:労宮(PC8)、少府(HT8)と併用。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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