名称
- 和名:失眠(しつみん)
- 経穴:経外奇穴(下肢部)
- 英名:Shimen (EX-LE10) / Shihmian
- 由来:「失眠」とは眠れないことを意味し、この穴を用いることで安眠が得られると考えられたため命名された。
取穴(位置・取り方)
- 足底部、踵の中央、踵骨隆起のやや下の陥凹部に取る。
- 立位で踵を確認し、最も圧痛のある点を指標とする。
解剖(近接構造)
- 皮膚・皮下組織。
- 筋・腱:足底腱膜の付着部、長趾屈筋腱付近。
- 神経:内側踵骨神経、外側足底神経の枝。
- 血管:足底動脈の分枝。
東洋医学的機能
- 安神定志:心神を安定させ、精神不安や多夢を鎮める。
- 清心除煩:心火亢盛による不眠や心煩を調整する。
- 寧心益腎:心腎の交通を助け、陰陽の失調を調和する。
古典的応用例
- 『鍼灸資生経』:不眠に効ありと記載。
- 『鍼灸大成』:心煩・健忘・精神不安に用いられるとされる。
- 『経外奇穴彙編』:不眠症、夢多、夜間覚醒、心悸に応用すると記される。
- 近代中国文献では、失眠に対して安眠穴と並んで臨床的によく使用されるとされる。
刺鍼法(参考・古典的記載)
- 刺入方向:直刺。
- 刺入深度:0.3〜0.5寸程度。
- 灸法:間接灸、棒灸を用いて温めることが多い。不眠の慢性例に応用される。
※教育・研究目的の古典的記載です。実際の施術は必ず有資格者の管理下で行ってください。
禁忌・注意
- 足底部は皮膚が厚く痛みを感じやすいため、刺激量に注意する。
- 炎症や潰瘍がある場合は避ける。
臨床のコツ・組み合わせ
- 不眠症:安眠(EX-HN16)、神門(HT7)、三陰交(SP6)と併用し、安神作用を高める。
- 精神不安・心悸:内関(PC6)、印堂(EX-HN3)、百会(GV20)と配穴する。
- 夢多・易覚醒:照海(KI6)、太谿(KI3)と合わせて心腎を調和する。
- 全身的な虚弱:足三里(ST36)、気海(CV6)、脾兪(BL20)と組み合わせて気血を補う。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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