名称
- 和名:八風(はちふう)
- 経穴分類:奇穴
- 由来:両足の趾間に計8穴があるため「八風」と称される。風邪・湿邪を祓い、下肢の病変に用いられることからこの名がある。
取穴(位置・取り方)
- 足背、第1〜5趾の間、みずかきの赤白肉際に取る。左右で計8穴。
- 趾を軽く開いた際にできる陥凹部を目安とする。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 血管:足背静脈網、足背動脈の枝。
- 神経:足背趾神経の枝。
東洋医学的機能
- 疏風散寒:風邪・寒邪を祓い、痛みを軽減するとされる。
- 清熱利湿:湿熱を取り除き、下肢の腫脹を軽減する。
- 活血通絡:気血の流れを促し、関節・足趾の運動を改善するとされる。
古典的応用例
- 『奇穴図考』:足背腫痛、脚気、趾間湿疹に用いると記載。
- 『鍼灸聚英』:マラリア様の発熱、足の冷え、関節炎などに応用される。
- 『鍼灸大成』:足背腫脹・疼痛、麻木、脚弱など下肢の多彩な疾患に適応と記す。
刺鍼法(参考・古典的記載)
- 刺鍼:直刺0.3〜0.5寸。浅めに行う。
- 刺絡:足背の腫脹・熱感が強い場合、点刺して少量の血を瀉す方法が多く記される。
- 灸法はまれだが、冷えによる下肢痛には用いられることがある。
※教育・研究目的の古典的記載です。実際の施術は必ず有資格者の指導を受けてください。
禁忌・注意
- 足背は血管が豊富なため、刺絡の際は出血量に注意。
- 糖尿病などで末梢循環不良のある場合は感染予防を徹底。
- 急性の炎症が強いときは刺激を控えることがある。
臨床のコツ・組み合わせ
- 足背腫脹・疼痛:八風と解渓(ST41)、太衝(LR3)をあわせて用い、足部の気血の流れを促す。
- 脚気・麻木:八風に足三里(ST36)、三陰交(SP6)を併用し、下肢全体の気血を補う。
- マラリア様の発熱:八風を刺絡し、大椎(GV14)、曲池(LI11)とあわせて邪熱を瀉す方法が古典に記載される。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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