名称
- 和名:前頂(ぜんちょう)
- 経穴:督脈(GV21)
- 英名:Qianding (GV21)
取穴(位置・取り方)
- 頭部正中線上、百会(GV20)と上星(GV23)の中点に取る。
- 具体的には、前髪際後方3寸5分にある百会(GV20)から前方へ1.5寸の部位。
- 頭頂部から前頭方向にかけての正中線上のやや陥凹したところで、軽く押圧すると鈍い響きを感じる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:帽状腱膜(前頭筋と後頭筋の腱膜部)。
- 神経:眼窩上神経(前頭神経の枝)。
- 血管:浅側頭動脈前枝、眼窩上動脈分枝。
- 深部:頭蓋骨(前頭骨・頭頂骨)。
東洋医学的作用(要点)
- 清頭明目: 頭部の清陽の気を通じ、目・鼻・頭の感覚を明らかにする。
- 安神定志: 精神を安定させ、不眠・焦燥・多夢を鎮める。
- 開竅醒脳: 意識清明を助け、昏厥・気絶などにも応用される。
主な適応
- 頭痛、頭重感、めまい。
- 鼻閉、鼻炎、鼻出血。
- 精神不安、不眠、多夢。
- 癲癇、意識障害の補助点。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方向: 後方(百会方向)またはやや下方へ斜刺。
- 刺入深さ: 0.3〜0.5寸(約5〜10mm)。浅刺を基本とし、頭蓋骨を避ける。
- 灸法: 良好。温灸や知熱灸を施すと、頭部冷え・鼻閉に有効。
- 注意: 頭蓋に近いため、深刺や強刺激は避ける。頭痛持ちには軽刺激で行う。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 前頂(GV21)は、百会(GV20)よりもやや前方に位置し、特に前頭部・頭頂部の気血循環を改善する要穴です。 精神的疲労、集中力低下、鼻閉・頭重感など、上焦に気が滞る症状に有用です。
- ① 頭痛・頭重感:前頂(GV21)+百会(GV20)+風池(GB20)+合谷(LI4)
- ② 鼻閉・鼻炎:前頂(GV21)+上星(GV23)+迎香(LI20)+攅竹(BL2)
- ③ 不眠・精神不安:前頂(GV21)+百会(GV20)+神門(HT7)+内関(PC6)
- ④ 意識障害・癲癇発作の補助: 前頂(GV21)+水溝(GV26)+中衝(PC9)
- 灸法を併用することで頭部の血流改善と安神効果が高まり、 ストレス性頭痛や睡眠障害に穏やかな鎮静作用を示すとされます。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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