名称
- 和名:曲垣(きょっえん)
- 経穴:手の太陽小腸経(SI13)
- 英名:Quyuan (SI13)
取穴(位置・取り方)
- 肩甲棘内端の上方、肩甲骨内縁上角部の陥凹に取る。
- 肩甲棘の内端を触り、その上方で僧帽筋の外縁と肩甲骨内縁の間を探ると陥凹を得やすい。
- 患者を座位にして肩を軽く前方に出させると位置が分かりやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、僧帽筋。
- 深層:肩甲挙筋、棘上筋の一部。
- 神経:肩甲背神経、副神経(僧帽筋支配)。
- 血管:肩甲背動脈、肩甲上動脈の枝。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 肩背部の経気を疏通する:肩甲骨内縁付近の気血の滞りを調え、痛みやこわばりを軽減するとされた。
- 絡脈を通じる:小腸経の流注上、肩背の経気を結びつけ、周辺経穴との連絡を助ける。
- 上肢の機能改善:腕や肩の動きに関連する気の流れを整えるとされた。
古典的応用例
- 肩背部疾患:肩甲骨内縁の痛み、肩背部の強張り、肩こり。
- 肩関節疾患:肩関節の運動制限、五十肩。
- 上肢の症状:上肢の挙上困難、腕のだるさ。
- 全身性症状:古典では「気結を散じる」作用により、局所症状だけでなく体内の気滞にも応用された記載がある。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:直刺または斜刺。
- 刺入深度:0.5〜0.8寸程度。
- 注意点:胸腔に近いため深刺を避け、針は肩甲骨に沿うように浅めに行う。
※本記事は古典的記載に基づく教育的まとめであり、現代医療的効果を保証するものではありません。施術は必ず有資格者が行ってください。
禁忌・注意(参考)
- 過度な深刺は胸膜を損傷し、気胸の危険がある。
- 痩せ型の患者では特に注意が必要。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 肩甲骨内縁のこり・痛み:天宗(SI11)、秉風(SI12)と組み合わせ、肩背部の循環改善を図る。
- 肩関節可動域の改善:肩髃(LI15)、肩髎(TE14)と併用し、五十肩や挙上困難の緩和に応用された。
- 肩こり全般:肩井(GB21)、天柱(BL10)と併用して、僧帽筋上部の緊張緩和を助ける。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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