名称
- 和名:兪府(ゆふ)
- 経穴:足の少陰腎経(KI27)
- 英名:Shufu (KI27)
取穴(位置・取り方)
- 胸部、第1肋間、前正中線(CVライン)の外方2寸。
- 鎖骨下窩のやや下方で、第1肋間隙にある。
- 前正中線(胸骨正中線)と乳頭線の中間あたりで取るとわかりやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大胸筋、小胸筋、第1肋間筋。
- 神経:肋間神経前皮枝。
- 血管:肋間動脈・静脈。
- 深部:胸膜腔(肺尖に近接)。
東洋医学的作用(要点)
- 宣肺化痰:肺の機能を高め痰を除く。
- 理気寛胸:胸中の気の滞りを通じ、胸悶や胸痛を改善。
- 止咳平喘:咳嗽・喘息を鎮める。
- 安神:胸中の鬱熱や不安を和らげ、精神を安定させる。
主な適応
- 咳嗽、喘息、気管支炎。
- 胸痛、胸悶感、動悸。
- 咽喉の違和感、咳痰。
- 心悸亢進、不安、不眠。
刺鍼(実践上の注意)
- 刺入方向:外方または斜め下方に斜刺。
- 刺入深さ:0.3〜0.5寸(約10〜15mm)。
- 灸法:温灸・知熱灸を用いると呼吸器症状に有効。
- 注意点:直刺・深刺は肺を損傷する危険があるため厳禁。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 兪府(KI27)は腎経胸部穴の最上位にあり、胸中の気を開き、肺・心の症状に広く用いられます。
- 呼吸器疾患(咳・喘息・痰の多い咳)では、中府(LU1)、天突(CV22)、膻中(CV17)と併用して呼吸を楽にする。
- 胸痛・胸悶には、期門(LR14)、内関(PC6)、巨闕(CV14)との組み合わせが効果的。
- 心悸・不眠・不安では、神門(HT7)、安眠(EX-HN16)、百会(GV20)とともに用いて精神を安定させる。
- また、腎経の胸部穴(KI23〜KI27)は「胸部五兪穴」と呼ばれ、連続して施術すると胸部気機の調整に非常に有効とされます。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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