名称
- 和名:歩廊(ほろう)
- 経穴:足の少陰腎経(KI22)
- 英名:Bulang (KI22)
取穴(位置・取り方)
- 胸部、第5肋間、前正中線(CVライン)の外方2寸に取る。
- 乳根(ST18)の高さで、乳頭よりやや内方に位置する。
- 肋間の陥凹を確認して取穴する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大胸筋、小胸筋、肋間筋。
- 神経:肋間神経の前皮枝。
- 血管:肋間動脈・静脈。
- 深部:胸膜腔(肺尖部に近接)。
東洋医学的作用(要点)
- 理気寛胸:胸の気滞を解消し、胸部の膨満や不快感を改善。
- 寛膈止咳:咳嗽や喘息に用いられる。
- 降逆止嘔:胃気の上逆を抑え、悪心・嘔吐に応用。
主な適応
- 咳嗽、喘息、気管支炎。
- 胸痛、胸部圧迫感。
- 悪心、嘔吐、しゃっくり。
- 心窩部痛や消化不良。
刺鍼(実践上の注意)
- 刺入方向:斜刺(外側またはやや下方へ)。
- 刺入深さ:0.5〜0.8寸(約10〜20mm)。
- 灸法:知熱灸・温灸いずれも可。慢性の咳嗽や虚弱体質に適応。
- 注意点:直刺・深刺は禁忌。胸膜や肺を損傷する恐れがあるため、必ず外方へ斜刺する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 歩廊(KI22)は、腎経が胸部に達する最下段の要穴であり、胸部症状(咳・喘息・胸満)や胃気上逆(嘔吐・しゃっくり)に幅広く応用されます。
- 呼吸器疾患では、膻中(CV17)、肺兪(BL13)、太淵(LU9)と併用し、咳嗽・喘息に効果的。
- 胸のつかえには、膻中(CV17)、期門(LR14)、巨闕(CV14)との組み合わせで理気・寛胸。
- 悪心・嘔吐には、中脘(CV12)、内関(PC6)、公孫(SP4)とともに用いる。
- 腎経胸部穴(KI22〜KI27)を連続して配穴すると、胸中の気機を広く調整でき、慢性の呼吸器疾患や不安神経症のサポートに有効です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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