幽門まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:幽門(ゆうもん)
  • 経穴:足の少陰腎経(KI21)
  • 英名:Youmen (KI21)


取穴(位置・取り方)

  • 上腹部、臍中(CV8)の上方6寸、前正中線(CVライン)の外方0.5寸に取る。
  • 腎経腹部経穴群の最上方に位置し、中脘(CV12)の外方0.5寸に相当する。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋肉:腹直筋。
  • 神経:第7・第8肋間神経前皮枝。
  • 血管:上腹壁動脈・静脈。
  • 深部:胃(胃体部)。


東洋医学的作用(要点)

  • 健脾和胃:胃腸の働きを調整し、食欲不振や消化不良に有効。
  • 降逆止嘔:胃気の上逆を抑え、悪心・嘔吐を改善する。
  • 理気安神:気の流れを整え、不安や胸部のつかえを和らげる。


主な適応

  • 胃痛、食欲不振、消化不良。
  • 悪心、嘔吐、呑酸、しゃっくり。
  • 胸部や心窩部の膨満感。
  • 不安・心悸亢進などの神経症状。


刺鍼(実践上の注意)

  • 刺入方向:直刺。
  • 刺入深さ:0.5〜1寸(約10〜25mm)。
  • 灸法:知熱灸・温灸ともに可。特に胃弱や冷えによる消化器症状に有効。
  • 注意点:深刺により腹腔臓器(特に胃)を損傷する恐れがあるため、慎重に刺入する。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 幽門(KI21)は「胃の門を守る」ような意味を持ち、胃腸疾患に広く応用される重要な腹部腎経穴です。
  • 胃痛・消化不良には、中脘(CV12)足三里(ST36)内関(PC6)と組み合わせる。
  • 悪心・嘔吐には、内関(PC6)公孫(SP4)との併用が有効。
  • 胸部不快感や不安には、膻中(CV17)神門(HT7)太谿(KI3)と組み合わせて心腎を調和させる。
  • 慢性の胃腸虚弱には、幽門(KI21)を含めた腎経の腹部ライン(KI16〜KI21)を連続的に用いることで全体的な調整効果が期待できます。


※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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