紫宮まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:紫宮(しきゅう)
  • 経穴:任脈(CV19)
  • 英名:Zigong (CV19)


取穴(位置・取り方)



解剖(近接構造)

  • 皮下に胸骨体前面、浅胸筋膜があり、その下方に胸腔(心臓上部・大血管上縁)が存在。
  • 支配神経:第2肋間神経の前皮枝。
  • 血管:内胸動脈およびその穿通枝。


東洋医学的作用(要点)

  • 寛胸理気 胸中の気滞を解き、呼吸・循環を調整する。
  • 安神定悸 心気の乱れによる動悸・不安を鎮める。
  • 化痰止咳 痰による咳嗽・喘鳴を緩和する。
  • 開鬱除煩 胸中の鬱熱・情動不安を解消する。


主な適応

  • 胸満、胸悶、息苦しさ。
  • 咳嗽、喘息、呼吸困難。
  • 心悸、心痛、狭心症様の胸痛。
  • 情緒不安、焦燥、ヒステリー。
  • のどのつかえ(梅核気)など、気滞性の胸咽症状。


古典的記載・応用例

  • 『鍼灸甲乙経』:「主胸満、咳嗽、喘息、気逆上衝。」とあり、呼吸器系の上逆症に有効とされる。
  • 『銅人腧穴鍼灸図経』では「心胸煩満、喘嗽気短を治す」と記載。
  • 『針灸大成』:「治胸膈痞満、咳逆喘息。」とあり、胸中の鬱滞に対する重要穴として列挙されている。


刺鍼法・施灸法

  • 刺鍼: 斜刺 0.3〜0.5寸(胸骨に沿って皮下浅層へ)。深刺厳禁。
  • 灸法: 温灸または艾炷灸(軽度刺激)。
  • 気鬱・胸満には瀉法、気虚・寒嗽には補法が適す。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 紫宮(CV19)は、胸の上部に位置し、上焦(心・肺)の気機を調整する中心的な任脈穴です。 とくに「胸苦しさ・息が詰まる・喉のつかえ」など、情動と呼吸が関わる症状に有効です。 胸中の気滞が強い場合には、玉堂(CV18)膻中(CV17)と連携させ、胸膈の解鬱・理気を図ります。
  • ① 胸のつかえ・胸満:紫宮(CV19)+玉堂(CV18)膻中(CV17)期門(LR14)→ 任脈・肝経の協調で胸膈を開き、情志性の胸部閉塞を解消。
  • ② 咳嗽・喘息:紫宮(CV19)+天突(CV22)肺兪(BL13)太淵(LU9)→ 肺気上逆を降ろし、痰滞・咳嗽を軽減。
  • ③ 動悸・心悸:紫宮(CV19)+神門(HT7)内関(PC6)膻中(CV17)→ 心包・任脈・心経を組み合わせ、情緒性の心悸を安定化。
  • ④ 梅核気(喉のつかえ感):紫宮(CV19)+天突(CV22)合谷(LI4)太衝(LR3)→ 気滞を開き、咽喉の異物感を除去。
  • 紫宮は任脈上の上焦気機の中枢であり、 呼吸器・循環器・情緒の交わる「心肺気海」とも称されます。 古典的には「胸満・心煩・咳喘を治す」とされ、 現代でもストレス起因の胸部不快・自律神経性の息苦しさなどに有効です。


※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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