名称
- 和名:巨髎(こりょう)
- 経穴:足の陽明胃経(ST3)
- 英名:Juliao (ST3)
取穴(位置・取り方)
- 顔面部、瞳孔の直下で、鼻翼の下縁と同じ高さ、鼻唇溝の外方に取る。
- 鼻の両脇から外方へ指をすべらせ、鼻唇溝の外側で骨際に触れる位置が目安。
- 表情筋の活動点に近く、顔面神経麻痺の治療で重要視される。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:上唇挙筋、眼輪筋。
- 神経・血管:顔面神経の筋枝、顔面動脈の枝。
- 深部:上顎骨。
東洋医学的機能(要点)
- 通竅・活絡:鼻づまり、鼻炎、蓄膿症などに有効。
- 散風作用:顔面神経麻痺、けいれんに用いる。
- 美容応用:顔のむくみ、たるみ改善にも応用される。
臨床応用
- 耳鼻科領域:鼻炎、鼻閉、蓄膿症、花粉症。
- 神経疾患:顔面神経麻痺、三叉神経痛。
- 美容鍼灸:法令線の改善やリフトアップ目的で使用される。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.14–0.20mm、長さ15–30mm。
- 刺入方向と深さ:
- 皮膚に対してやや上方・外方へ0.3–0.5寸程度の斜刺。
- 直刺するときも浅めに行い、深刺を避ける。
- 保持時間:10–15分程度。
- 灸法:通常は用いない。
禁忌・注意
- 深刺は顔面神経や血管を損傷する恐れがあるため避ける。
- 急性の化膿性疾患や皮膚炎がある場合は控える。
- 美容鍼灸で使用する際は皮下出血に注意。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 巨髎(ST3)は鼻疾患や顔面神経麻痺における重要穴であり、局所治療点としてよく用いられる。
- 鼻炎や蓄膿症では、迎香(LI20)、上星(GV23)、印堂(EX-HN3)などと組み合わせると通鼻作用が増強される。
- 顔面神経麻痺の治療では、地倉(ST4)、頬車(ST6)、翳風(TE17)などとあわせて配穴するのが一般的である。
- 美容目的では承泣(ST1)、四白(ST2)と組み合わせると、顔の血流を促しリフトアップ効果が期待できる。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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