前谷まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:前谷(ぜんこく)
  • 経穴:手の太陽小腸経(SI2)、滎水穴
  • 英名:Qiangu (SI2)


取穴(位置・取り方)

  • 手の小指尺側、掌指関節の前方陥凹部に取る。
  • 小指を軽く曲げたとき、小指と手掌の境界にできる陥凹が目安。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織。
  • 神経:尺骨神経末梢枝。
  • 血管:手背静脈網、小指動静脈分枝。


東洋医学的機能(要点)

  • 清熱作用:小腸経に沿う熱を鎮め、咽喉・目・耳の熱症状を改善。
  • 利尿作用:小便不利、浮腫、尿閉に応用。
  • 耳疾患への効果:耳鳴り・難聴など耳の熱証に用いる。
  • 通経作用:経絡を通じて手指の痛みや拘縮に効果。


臨床応用(耳疾患・咽喉腫痛・泌尿器症状など)

  • 耳鳴りや難聴には、前谷(SI2)を聴宮(SI19)、聴会(GB2)と併用して、耳の経絡を通じ、耳部の炎症や機能低下を改善します。
  • 咽喉の腫れや痛み、発熱時には、前谷(SI2)を少商(LU11)商陽(LI1)と組み合わせ、強い清熱・瀉火効果を期待します。
  • 小便不利や浮腫には、前谷(SI2)を中極(CV3)膀胱兪(BL28)と組み合わせることで利尿作用が強まり、尿路系の症状改善に役立ちます。
  • 手指の腫脹・関節炎や神経痛には、経絡上の後谿(SI3)陽谷(SI5)と組み合わせることで、経気の流れを改善し痛みを和らげます。



刺鍼法(安全重視)

  • 刺入方法:直刺または浅刺で0.1〜0.3寸(約2〜5mm)。
  • 灸法:温灸・知熱灸が適応。特に泌尿器系疾患には灸が有効。
  • 注意点:浅い部位なので深刺不要。感染予防に注意。


禁忌・注意

  • 深刺は不要で、軽刺激で十分な効果を得られる。
  • 小児や高齢者では強刺激を避ける。
  • 炎症部位(ひょう疽など)がある場合は禁鍼。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 前谷(SI2)は「耳と咽喉の熱症状に強い効果を持つ滎穴」として用いられます。耳鳴り・難聴・中耳炎には聴宮(SI19)、聴会(GB2)とセットで使うと局所効果が安定します。
  • 咽喉の腫脹や口腔の熱症状には、少商(LU11)商陽(LI1)との組み合わせが有効で、急性期の炎症症状に即効性を示します。
  • 泌尿器疾患や浮腫には、中極(CV3)膀胱兪(BL28)と合わせると、利水・通淋の効果が高まり、慢性的な尿閉や排尿困難にも応用できます。
  • 指関節痛や関節リウマチなどの指のトラブルには、同経の後谿(SI3)陽谷(SI5)と連携して治療を組み立てると経絡全体を調整できます。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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